最近、アメリカでロータリーエンジンの開発が盛ん?です。
昨年にアメリカのLiquid Piston社が開発したX-Engineは
マツダ製ロータリーエンジンに似ていますが、
放熱フィンが付いたおにぎり型のハウジングの中を
繭型のローターが回転するというマツダとは逆の形になっています。
サイドポート構造でハウジングの3点で点火され、空冷、アペックスシールレス等
従来のロータリーエンジンの弱点を解消した小型軽量なエンジンです。
コンセプトとしては元々のヴァンケルエンジンに似ている気がします。
資料には1hp~1000hpまで対応可能と記載されていますが、
今のところはX-miniというエンジンが発電機用としてアメリカ陸軍の中小企業技術革新制度を獲得したようです。
5hp/14000rpm、約1.8kg、オーバーホール1000時間というスペック。
と、実はここまでは前置きで
X-Engineも素晴らしいですが、もう一つのロータリーエンジンが個人的には注目のエンジンです。
Astron Aerospace社の
ロータリーエンジン?と思いますが、4ローターエンジンでした。
吸気、圧縮、燃焼、排気を各1ローターづつ独立させて、それを2ローター1セットで組み合わせています。
構造としては空冷、サイドポート、アペックスシールレス等X-Engineにコンセプトは似ています。
X-Engineは1サイクルで3回点火していましたが、OMEGA1は1サイクル1点火というのが違いでしょうか。
(厳密には違うと思いますが、説明が難しいので動画を参照下さい)
単体の出力で160HP、トルクが約230Nm、アイドル回転数が1000rpm、レッドラインが25000rpmという高回転エンジンです。
OMEGA1が興味深いのがモジュラーになっているので、2機繋げて倍の出力にすることも可能のようです。
気筒休止機構に似たスキップファイア機構というの搭載し、
巡航速度になると数回転に1回の点火に切り替える構造で低燃費を実現しています。
こちらも軽量で、1ユニットが約16kg。
自動車、発電機、モーターサイクル、船舶、航空宇宙向けで開発しています。
何よりも簡易な構造(単気筒レシプロエンジンとほぼ同じ部品点数)と気密性が売りで、
オーバーホール間隔が10万時間というのが驚きです。
レンジエクステンダーとして紹介されていますが、通常のエンジンとしても優秀だと思います。
X-Engine、OMEGA1ともにガソリン、JP-8(ジェット燃料)、灯油等々様々な燃料に対応しています。
X-Engineはディーゼル、OMEGA1は水素への対応も言及しています。
どんどんEVに向かっていく中で、こういった新発想のエンジンが出てくるのは期待してしまいますね。